2024 年 1 月から ジョージア工科大学にて、オンラインでコンピューターサイエンスの修士課程の受講を開始した。海外大学院への進学の目的や入学までに行ったことを紹介する。
はじめに
現在、社会人として勤務しつつ、オンラインでジョージア工科大学の大学院の授業を受けている。 Online Master of Science in Computer Science (OMSCS) と呼ばれる修士課程であり、専攻はコンピューターサイエンス (CS) である。 海外の大学院のため講義は全て英語であり、ゆっくり講義を受けていくとなると、3 年ほどで卒業になるプログラムである。 また、大学院の全ての授業はオンラインで提供され、卒業までオンラインで完結する。
Online Master of Science in Computer Science (OMSCS)
[追記] OMSCS での履修計画は、こちらにまとめた。
ジョージア工科大学とは
ジョージア工科大学はアメリカのアトランタに存在する大学で、コンピューターサイエンスの分野では世界的にも権威がある様子である。 オンラインコースの提供にかなり意欲的で、このコースが始まってからは 10 年が経過しているとのことだった。
コンピューターサイエンスの修士課程だけではなく、他にも Analytics や Cybersecurity などのコースもオンラインで受講が可能である。 他の海外の大学院も含めた比較などはすでに先駆者の方が紹介しているため、そちらが参考になるかと思う。
文系学部卒からGeorgia Techコンピューターサイエンス修士課程への闘争
こちらのオンラインのプログラムの特徴としては、アメリカのオンサイトで取得したものと変わらない修士号が取得できるにも関わらず、費用はかなり良心的であることである。 1 授業は 16 週程度であり、現地と変らない内容になっている。1 授業の費用は日本円にして 10 万円前後である。卒業要件として 10 授業取り終える必要があるため、総額 100 万円程度になるかと見積もっている。 海外の大学院は学費が高いことで有名であるが、場合によって日本の大学院の修士よりも良心的な価格で修士を取れるのは非常に魅力的に感じた。
目的
海外の大学院の修士号が取れる、費用が安いなどのメリットはもちろんだが、このプログラムを通して体系的なコンピューターサイエンスの知識得ることが目的である。 IT 企業に務めている中で、自分は公式ドキュメントを読むだけではなかなか頭に入ってこず、動作原理を理解しないとしっかりと話せないタイプであると感じた。 また、IT を利用して何かをしたいと思うが、自分の知識だけでは何をしたらいいかわからないという状況であった。 そのため、講義によって体系的な知識を学び、膨大な課題を通して手を動かすことで、これらの苦手意識を解消したいと考えている。
その他には、英語に対する抵抗を除くことも目的である。学生時代に海外留学に行きたいと思っていたが踏み出す機会がなく、そのまま社会人となってしまったことで身動きが取りずらくなってきていた。その中で、オンラインでの海外大学院への進学は生活を大きく変えることがなく挑戦できることから、現在の状況に適していると思い決断をした。
入学までに何が必要か
こちらのコースを始めるには大学院に入学する必要があり、出願のために準備を行った。海外の大学院のため英語の要件を満たす必要があったが、海外留学の経験もなく英語も得意ではなかったため、結局その準備に 1 年ほど要した。
オンラインで完結するプログラムとは言え、通常の大学院への出願と同じように、主に必要な準備は以下であった。
推薦状
推薦状に関しては 3 通必要であり、大学院への進学のため 1 通はアカデミックに関連する人が好ましいとされていた。 そのため、1 通は日本の大学に在学していた時の指導教官に依頼し、残りは職場の上司に依頼した。 お忙しい中全員に提出いただき、おかげ様で無事合格できたため、改めてこの場でお礼申し上げたい。
TOEFL のスコア
英語圏の出身ではない学生は、他の海外の大学院への出願時と同じように TOEFL などの英語の試験結果の提出を求められた。 TOEFL は 100 点がボーダーと公式では言っているが、90 点以上で合格の可能性があるらしいという情報を確認していた。 そのため、90 点以上を目指していたが、思うように点数が伸びず苦労した。最終的には 94 点で提出し、なんとか合格できた。
Resume
Resume に関しては、外資系企業での転職では頻繁にみかける一般的なものを提出した。その際には、志望動機の裏付けとなるような経歴をアピールすることを意識した。
志望動機
志望動機に関しては、以前は Statement of Purpose (SOP) の提出が必要だったみたいであるが、私の出願時には Web フォームで志望動機を記入していくものであった。 なぜこのプログラムを受講するかや大学院レベルの厳しいプログラムだがなぜ乗り越えられると思うか、などの質問に対して端的に回答していくものになっていた。 他にも受講したことのあるコンピューターサイエンス関連の講義や MOOC (Massice Open Online Course) を記載する項目があった。これらを基に適正を判断しているようだった。
出願条件
出願条件は一応設けられており、コンピューターサイエンスか関連科目 (mathematics, computer engineering, electrical engineering) の学士を取得しており、GPA 3.0 以上であることが好ましいと記載されている。
Preferred qualifications for admitted OMSCS students are an undergraduate degree in computer science or related field (typically mathematics, computer engineering or electrical engineering) with a cumulative GPA of 3.0 or higher. Applicants who do not meet these criteria will be evaluated on a case-by-case basis.
それ以外の場合は、コンピューターサイエンスの知識を基にケースバイケースで判断するとされている。 その場合、大学提供の以下のオンラインコースを受講することが推奨されている。コンピューターサイエンスの学士は取得していないことから、出願時には Introduction to Object-Oriented Programming with Java の受講を完了させた。 Data Structures & Algorithms も完了を目指していたが途中までしか完了できなかったため、少しでもアピールになればと思い、完了したところまでを記載した。こちらに関しては、合格後に残りを受講して完了させた。
- Introduction to Python Programming
- Introduction to Object-Oriented Programming with Java
- Data Structures & Algorithms
卒業要件
卒業要件に関しては、3 つの Option が用意されている。 1 以外の Project Option や Thesis Option に関しては、事前にアドバイザーにテーマなどに関して相談する必要があるようであるが、面白そうな授業が多くあることから、Course Option で卒業を目指していく予定である。他の大学院と異なり、修士論文を書かず修了する方法があるのも特徴である。
-
Course Option : 10 授業の受講
-
Project Option : 7 授業の受講と独自プロジェクト
-
Thesis Option : 6 授業の受講と論文
Master of Science in Computer Science
なお、1 年間は Spring, Summer, Fall の 3 学期制であり、Summer が他に比べ若干期間が短い。 1 学期 1 授業受けるとなると、Course Option での卒業には 10 授業取り終える必要があり、3 年と 1 学期要する計算になる。
今後の予定
Course Option によっての卒業を考えているため、10 授業を取り終えるよう、海外のクラスメイトと共にコツコツと受講を進めていく予定である。
場合によっては 3 年以上要する可能性があるが、余裕があれば 1 学期に複数の講義を受け、前倒しにできればと考えている。
大学院レベルの授業であるため修了できるか不安であるが、その過程での学びに関して定期的に更新していけたらと思う。